□ はじめに皆さん、こんにちは。展示会市場はビジネスコミュニケーションの中核を担い、現在も世界中で進化と成長を続けています。展示会市場の拡大に伴い、地域ごとに異なる特色が現れています。北米、欧州、新興国の中国やインドでは大規模な展示会が開催され、多くのビジネスチャンスが提供されています。特にドイツのハノーファー国際見本市会場は世界最大の展示ホールを誇り、27の展示ホールを合わせた総展示面積は約46万平方メートルに達しています(東京ビッグサイト約4.8個分)。この事実はギネス世界記録にも登録されています。※東京ビッグサイトをはるかに超越する世界最大の「ハノーファー国際見本市会場」日本の展示会市場は特定の分野への関心が高く、業界や技術に特化した展示会が多く開催されるのが特徴です。例えば「CEATEC(Combined Exhibition of Advanced Technologies)」では、最新のICT技術やデジタル家電が展示され、約15万名が来場し、日本市場における先端技術に対する関心の高さを裏付けています。一方、世界の展示会、コンベンション、会議市場の規模は、2022年に308億8,000万米ドル(約5兆8,200億円)に達し、2031年までには417億5,500万米ドル(約6兆2,625億円)に拡大すると予測されています。年平均成長率(CAGR)は3.4%で、この成長は今後も続くことが期待されています。特に興味深いのは、新興市場として台頭している中国とインドです。中国では、四葉のクローバーの形をした上海国家会展中心(展示面積:約40.4万平方メートル、東京ビッグサイト約4.3個分)や、広州交易会の主要な開催地として知られている広州国際会展中心(展示面積:約33.8万平方メートル、東京ビッグサイト約3.6個分)などが主要な展示会場として有名です。これらの会場では、中国最大級の総合見本市「China International Import Expo(CIIE)」や、1957年に初めて開催され、それ以来、年に2回開催されている中国最大規模の貿易見本市「Canton Fair(広州交易会)」などが行われています。※上空から見ると四葉のクローバーの形をしている「上海国家会展中心」インドも同様で、プラガティ・マイダン(展示面積:約6.3万平方メートル、東京ビッグサイト約0.7個分)や、2023年7月に完成したG20首脳会議の会場でもある「バーラト・マンダパム(ヒンディー語で「インドの人々が集う場所」を意味し、正面には世界一の高さ8メートル以上というヒンドゥー教のシヴァ神像も飾られています)」が主要な展示会場として知られています。インドでは、B to BとB to Cの両方の要素を備えた世界最大の総合見本市の1つである「India International Trade Fair(IITF)」や、南アジア最大の軍事関連展示会「DefExpo」などの主要展示会が開催されています。インド市場は、その大きな人口と急速な経済成長により、今後もさらに活発化すると予想されています。※2023年7月に完成したG20首脳会議の会場でもある「バーラト・マンダパム」このように、展示会市場はビジネスチャンスを広げるための重要な舞台であり、その可能性を最大限に活用することが求められています。この記事が展示会市場の現在と未来に対する理解を深める一助となれば幸いです。1. 日本の展示会市場の進化 ~新たなビジネスのチャンス日本では毎年、多数の展示会が開催されています。主な会場には、日本最大の東京ビッグサイト(展示面積:約9.5万平方メートル)、幕張メッセ(展示面積:約7.2万平方メートル)、インテックス大阪(展示面積:約7万平方メートル)などがあります。展示会市場の規模は、博覧会を含めて約3,900億円とされています。※日本最大の展示面積を誇る「東京ビッグサイト」(東京都江東区有明3-11-1)パンデミックの影響で多くの展示会やイベントが中止や延期となり、業界全体が大きな打撃を受けましたが、その後のワクチン接種の進展と感染対策の確立により、展示会のデジタル化が加速しました。例えば、「東京ゲームショウ(TGS)」は2020年から2年連続でオンライン開催され、2022年にはオンラインとオフラインのハイブリッド形式が採用されました。TGS2023では「ゲームが動く、世界が変わる。」というテーマのもと、リアル会場、バーチャル会場、オンラインの三つの形式を組み合わせた過去最大級のハイブリッド開催が実現し、ゲーム産業をさらに盛り上げました。このような流れにより、ハイブリッド展示会への参加が全国各地から可能になりました。さらに、日本の展示会には国際的な参加者も増えています。特にアジア諸国からの出展企業が増加しており、2023年の「国際ロボット展(iREX2023)」では18カ国から121社が出展し、前回比で72社の増加となりました。最も多い出展国は中国の50社で、続いてドイツの16社、韓国の12社、米国と台湾がそれぞれ9社と続いています。その他、イスラエルやイタリア、英国、オーストラリア、シンガポールなどからも出展があり、日本の展示会市場はグローバルなビジネス交流の場としての役割を果たしています。また、環境問題への意識が高まる中、エコフレンドリーな展示会の開催も注目されています。例えば、毎年12月に開催される「エコプロダクツ展」では、様々な環境負荷低減の取り組みを行っており、各出展者の展示ブースで使用する電力や会場照明、空調に使用する電力まで全てグリーン電力で賄っています。これには風力や太陽光発電などの自然エネルギーが利用され、約16トンのCO2削減効果が見込まれています。これにより、企業が社会的責任(CSR)をアピールする場としての意義も高まっています。他の展示会でもエコフレンドリーな進化が見られ、紙のパンフレットやチラシの配布を減らし、デジタルサイネージやQRコードを利用した情報提供が増加しています。また、再利用可能な素材やリサイクル可能な資材を使用したブースデザインも増えています。さらに、最新技術の活用も進んでいます。AR(拡張現実)、VR(仮想現実)、AI(人工知能)などの最新技術が展示会で活用され、参加者に新たな体験を提供しています。今後の展示会ではこれらの技術がさらに進化し、よりインタラクティブでパーソナライズされた体験が提供されるでしょう。例えば、AIを搭載したチャットボットやスマートアシスタントは、来場者の質問にリアルタイムで対応します。展示会会場内で特定の製品を見られるブースの場所や、セミナーのスケジュールや場所などの情報を即座に提供します。これにより、来場者の体験がスムーズになり、満足度が向上します。日本の展示会市場は、来場者ひとりひとりにとって価値のある個別体験を提供する場へと進化しています。企業にとっては、より効果的なマーケティングを実現するための強力なツールとなるでしょう。2. 経済成長と展示会市場 ~中国が牽引する新興市場中国は、過去数十年間で驚異的な経済成長を遂げ、現在では約14億人の人口を擁する世界第2位の経済大国となっています。この経済成長に伴い、展示会市場も拡大しています。中国の展示会市場には次の特徴があります。まず、幅広い業界をカバーし、多様な製品カテゴリが展示されます。出展企業の数と展示面積が非常に大きく、数十万人規模の来場者が集まります。中国政府は展示会を経済発展の重要なツールと位置付け、積極的に支援しています。そのため、世界中の企業が中国の展示会に出展し、中国市場に挑戦しています。例えば、中国商務省と上海市政府が共同で建設した大型展示センターである上海国家会展中心は、40.4万平方メートルの規模でアジア最大(世界で2番目)の展示会場となっています(東京ビッグサイト約4.3個分)。さらに、広州交易会(Canton Fair)は、広州国際会展中心(展示面積:約33.8万平方メートル、東京ビッグサイト約3.6個分)で開催される展示会で、その規模と出展者数で世界的に有名です。1957年に創設され、中国で最も長い歴史を持ち、最大級の規模を誇ります。※世界5位のコンベンションセンター「広州国際会展中心」。設計は日本の佐藤総合計画。広州交易会は毎回3つの期に分けて15日間にわたり実施されます。第1期は家電製品や機械、第2期はギフトや生活雑貨、第3期は食品や服飾、医療用品などを取り扱います。28,000社(そのうち海外からは650社)が出展し、229の国と地域から合わせて約45万人(そのうち海外バイヤーは約19万人)が来場しました。広州交易会は、上海市で開催される中国国際輸入博覧会(CIIE)や北京市で開催される中国国際サービス貿易交易会(CIFTIS)と並び、中国の国家級の3大展示会の1つとされています。3. 急成長するインドの展示会産業 ~世界が注目する新たなビジネスチャンスとその潜在力インドの展示会は、規模の大きさと高い来場者数が特徴で、世界各国から多くの出展企業や来場者が集まります。インド政府は中小企業の展示会参加を奨励し、補助金や税制優遇措置を提供しています。インドはその巨大な人口規模(約14億人、世界第2位)と経済成長を背景に、2029年には経済規模で世界第3位にランクインすると予測されています。この成長の一因には、多くの優良企業の存在が挙げられます。現にインドには、世界的に著名な企業家や企業が数多く存在しています。例えば、マイクロソフトのCEOであるサティア・ナデラ氏の出身もインドです。また、タタ・グループやインフォシスなどの一大コングロマリット、さらに世界有数のIT企業もインドを拠点としています。具体的な事例として、タタ・グループは自動車、IT、電力、化学薬品まで多岐にわたるビジネスを展開しており、その年間売上は1,000億ドル(約15兆円)を超えています。一方、インフォシスはITサービス分野で世界的なリーダーで年次売上は130億ドル(約1兆9,500億円)を超えています。これらの大企業がどのように展示会を通じて新たなビジネスチャンスを掴んだか、成功談として非常に参考になります。インドでは「研究開発(R&D)」への投資に対して税制優遇措置が実施されています。その結果、多くの世界的なIT企業がインドに研究開発部門を設立しています。特にインド南部に位置するバンガロールは「インドのシリコンバレー」として知られ、その理由の1つがこの研究開発投資です。バンガロールはGoogle、IBM、Intelなどのグローバル企業が拠点を置いており、これがインドがグローバルな技術革新の中心地である大きな要因です。さらに、スタートアップエコシステムも充実しており、NASSCOM 10,000 Startupsのような支援プログラムも運営されています。ニューデリーで毎年開催されるインド国際見本市(India International Trade Fair)は、インドの展示会産業の象徴であり、プラガティ・マイダン(展示面積:約6.3万平方メートル、東京ビッグサイト約0.7個分)で開催されています。国内外から約7,000社が出展し、自動車、繊維、衣類、電化製品、食品、飲料、菓子、医薬品、化学薬品、化粧品、通信、電力、家具、玩具など多様な製品とサービスが展示されます。特筆すべきは、この見本市が新たなビジネスチャンスを提供している点です。見本市には約300万人の来場者が訪れ、ビジネス取引の総額は約13億ドル(約1,950億円)に達しています。これが、インドの展示会市場がますますグローバル化し、企業にとって新たな成長とビジネス展開の機会を提供している現実です。※ニューデリーの中心部に位置する、見本市会場「プラガティ・マイダン」□ さいごに展示会市場はビジネスコミュニケーションにおける重要な要素として、世界中で進化と成長を続けています。日本においても多くの新たなビジネスチャンスが生まれています。新興市場での展示会も日々進化し続けており、経済成長と技術の進展を活用して企業に新たなビジネスチャンスを提供し続けています。それぞれの市場を理解し、適切な戦略を持って臨むことが成功のカギとなるでしょう。株式会社ピーク・ワンは、マーケティングを次のステップへ進化させたい企業様に豊富な実績を基にしたサポートを提供しております。また、イベント受付管理システム「レジスタ」や事務局支援クラウド「セクレタ」といったシステムも提供しております。当社が提供するイベントDXサービス「FrontDeskシリーズ」では、イベント受付からリード獲得までをサポートするさまざまなソリューションを展開しています。特に、「レジスタ」は展示会での来場者情報取得を支援する受付管理ソリューションであり、オプション機能の「Quick Lead」「Quick Flyer」「Quick 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