□ はじめに皆さん、こんにちは。一般的に「自分の考えを主張する際は、データや事実に基づいた発言が良い」とされますが、スタンフォード大学のマーケティング教授、ジェニファー・アーカー氏によれば、「ストーリー」を共有することで相手により深く理解してもらえることが多いそうです。アーカー氏は、「ストーリーは、事実だけよりも最大 22 倍も記憶に残ります。」とも述べています。さらに、「ストーリー」を語ることで聞き手は感情的に動かされ、異なる視点へ導くことができます。このため、B to Bビジネスにおいても、潜在顧客や既存顧客と深いレベルで強い絆を築くことができる可能性があります。B to Bでは、製品やサービスが複雑であるため、どうしてもデータ主導になりがちです。しかし、ユニークな架け橋として「ストーリー」を活用することで、価値提案を効果的に伝えることができるかもしれません。「ストーリー」の力を活かして、より優れたB to Bマーケティングを目指すことは、潜在顧客や既存顧客との繋がりを構築したいと考える企業にとって画期的なアプローチとなり得ます。この記事ではストーリーマーケティングについて、事例と成功のポイントを交えながらご紹介します。ぜひこの記事を参考にして、「ストーリー」を活用したマーケティングを実践してみてください。1. 人は感情的に決めたことを正当化するカート・モーテンセン氏の著書『相手の心をつかんで離さない10の法則』には、「私たちの決定の90パーセントが感情に根差しているという。その決定を正当化するために理性を使う。つまり、私たちは感情的に決めたことを理論的に正当化するわけだ。」という記述があります。意外にも、多くの決定は感情によって導かれ、それを理性で裏付けているのです。これを踏まえると、顧客に対してまず製品の機能を伝えるのではなく、感情に働きかけることが大切だと言えるのではないでしょうか。実際、私たちは自分の感情に矛盾が生じたとき、ストレスを軽減するために「つじつま合わせ」や「言い訳」をしてしまいます。これは認知的不協和と呼ばれる現象ですが、私たちは日常的に感情で決めたことを正当化する傾向があります。例えば、ダイエット中に甘いものやジャンクフードを食べたいという矛盾した感情が生じる場合、「少量なら問題ない」「我慢すると失敗する」「今日は特別な日だから」といった合理化を行い、結局ダイエットに失敗してしまうことが多いでしょう。このような経験は誰にでもありますよね。一般的なマーケティングであれば、製品の機能やメリットを顧客にうまく伝えられるかという点に重点を置くと思いますが、これはあくまで企業視点です。押しつけがましく感じられると、顧客の購買意欲を失わせることになります。では、何が効果的でしょうか。それは、「ストーリー」の持つ力、すなわちストーリーマーケティングです。ストーリーマーケティングとは、「ストーリー」の要素を活用して訴求する手法です。具体的には、特定のキャラクターを中心に物語を進行させることで感情移入しやすくし、顧客の共感を引き出すことを目的としています。例えば、ベネッセコーポレーションの「進研ゼミ」のPRで各家庭にダイレクトメールされる漫画を思い浮かべてください。構成は次の通りです。①問題提起、②解決案、③実行、④結果、という流れです。実際の漫画だと、①成績の悪い主人公がいて部活も最近不調。でも、ライバルは優等生、②ライバルや幼なじみの異性からの言葉が主人公の胸に突き刺さる、③進研ゼミを始める、④進研ゼミさえやっておけば勉強もスポーツも友情も恋もすべてうまくいく。このように、ストーリーテリングを用いたマーケティングは、製品やサービス自体ではなく、それを利用することで得られる体験や感情を伝えることができます。さらに、共感を引き出しやすくすることで、顧客の印象に強く残る効果も期待できます。ぜひこの手法を参考にして、「ストーリー」を活用したマーケティングを実践してみてください。 2. ストーリー性のある動画は視聴者に余韻を残すストーリー性のある動画は視聴者が体験を自分ごととして感じやすい特徴があるので、感情に訴え、共感を呼び起こす力が強まり、記憶に残りやすくなります。単なる情報提供を超えて、感動や共感を視聴者に与えるため、心に深く刻まれるのです。こうしたストーリー性のある動画は、視聴者に余韻を残し製品・サービスへの興味を高める効果もあります。PhotoshopやIllustratorなどの有名ソフトウェア、PDFで知られているAdobe社が提供するデジタルマーケティングソリューション「Adobe Experience Cloud」のランディングページで公開されているCMがあります。このソリューションは、企業がWeb、モバイル、電子メール、ソーシャルメディアなど複数のチャネルを通じてパーソナライズされた顧客体験を提供できるものです。サイトには複数のCMがアップされており、ぜひご覧ください。CMでは「顧客一人ひとりに適切な顧客体験を効果的な方法で配信できていますか?」という切り口で「ストーリー」が展開され、ユーモアに満ちた内容となっています。ビジネスモデルを問わず、多くの企業が無視しがちな分析作業を怠ることが大きな問題を引き起こす様子が描かれ、マーケティング部門で働く人々の感情に訴えかけるメッセージが込められています。この動画は、世界中のマーケッターの共感を得ることに成功しています。次に、Amazonの事例をご紹介します。Amazonもストーリーマーケティングを活用したCMを制作しており、そのCMはYouTubeで公開され、わずか4ヶ月で約1,500万回も再生されました。このCMでは、便利さや安さをアピールせず、日常にAmazonがあることで得られる幸せにフォーカスしています。Amazonは、日常の様子を描くことで何を提供しているのかという期待感を生み出し、共感を得ました。このアプローチは、創業者のジェフ・ベゾスも重要視しています。ストーリーマーケティングを活用しない場合、顧客の記憶に残りにくくなります。たとえ情報が分かりやすく整理されていても、ストーリーマーケティングを活用した場合に比べて、その記憶や印象の残り方には大きな差が生まれるでしょう。このように、ストーリーマーケティングは感情と共感を引き出し、顧客の記憶に長く残る効果的な手法です。ぜひ取り入れてみてください。3. 「ストーリー」は必ずあるが、誰かが言わなければ気付かれないB to BマーケティングとB to Cマーケティングの違いの一つに、B to Bでは営業が介在することが多い点が挙げられます。通常、営業と商談した後に購入が行われますが、顧客との対話において言葉には人の心を動かす力があります。そのため、発信する情報の中で「開発ストーリー」は非常に大切です。開発者の想いやこだわりが製品やサービスに反映されていることが多く、その背景には語るべき内容が豊富に存在します。開発ストーリーを活用するメリットは多岐にわたります。まず一つ目は独自性を出せる点です。開発に至るまでの想いやこだわりは、その企業特有の独自性として表現できます。二つ目は顧客の記憶に残る点です。苦労や試行錯誤を克服した開発ストーリーは、顧客の記憶に強く残ります。三つ目は、顧客に企業や商品に対する愛着を持たせるきっかけになる点です。開発ストーリーを通じて企業の姿勢や製品・サービス開発の考え方が伝わり、それに共感した顧客はより一層企業や商品に関心を抱くようになります。例えば、VAIO株式会社はWebサイト上で「開発ストーリー」を公開しています。ビジネスパーソン向けのノートパソコンを多く取り扱っているVAIOですが、開発ストーリーを読むと、VAIOのノートパソコンが単なる製品ではなく、特別な存在に見えてきます。このように、製品の背景にいる人々の物語を伝えることで、信頼感を醸成することができます。企業の歴史や創業者・開発者の想い、こだわりは、社内では当たり前のものと感じがちです。そのため、顧客にもすでに伝わっているはずだと思い込むことがあります。しかし、自社の当たり前は顧客の当たり前ではありません。製品やサービスには必ず背景となる「ストーリー」があります。この「ストーリー」は、誰かが言わなければ気付かれません。自分たちの想いが顧客に伝わっているかどうかを振り返る時期が来ているかもしれません。開発ストーリーの活用を検討してみてはいかがでしょうか。その他の「展示会で成功するためのノウハウ」についての詳細は、下記の関連記事をご覧ください。関連記事:展示会で出展の成果を引き出す!~効果的なリードジェネレーションとリードナーチャリングとは?心を掴む!展示会ではどんなプロモーショングッズを配れば良い? □ さいごに「ストーリー」を活用したマーケティングは、製品やサービスの価値を効果的に伝え、顧客との深い絆を築くための強力な手法です。感情に訴え、共感を呼び起こす「ストーリー」は、データや事実だけでは達成できないレベルの記憶に残りやすさを実現します。ジェニファー・アーカー教授の研究やカート・モーテンセン氏の著書で示されているように、人の意思決定は感情に根ざしており、その感情を理論的に正当化します。AdobeやAmazonなどの具体例を見ても、ストーリーテリングがいかに強力なマーケティングツールであるかが理解できます。自社の開発ストーリーを活用することで、独自性を打ち出し、顧客の記憶に残る効果を高め、企業や商品に対する愛着を持たせることが可能です。ぜひ、このブログの内容を参考に、「ストーリー」を伝えるマーケティングを実践してみてください。株式会社ピーク・ワンは、マーケティングを次のステップへ進化させたい企業様に豊富な実績を基にしたサポートを提供しております。また、イベント受付管理システム「レジスタ」や事務局支援クラウド「セクレタ」といったシステムも提供しております。当社が提供するイベントDXサービス「FrontDeskシリーズ」では、イベント受付からリード獲得までをサポートするさまざまなソリューションを展開しています。特に、「レジスタ」は展示会での来場者情報取得を支援する受付管理ソリューションであり、オプション機能の「Quick Lead」「Quick Flyer」「Quick Check-in」を活用することで、最新の展示会マーケティングをタイムラグなく実現します。さらに、株式会社ピーク・ワンには数多くの企業イベントの受付を構築してきたプロが在籍し、展示会イベント受付オンサイトサポートサービス「受付の達人」も提供しております。当社は30年以上の経験とノウハウを活かし、貴社のイベントを成功へと導きます。トラブルの未然防止、スムーズな受付運営、そして参加者一人一人に最良の体験を提供することで、イベント成功の第一歩を確実にサポートいたします。また、多言語に対応したイベントプロデューサーもおりますので、グローバルなイベントにも柔軟に対応(⽇英を含む世界5ヵ国の⾔語にネイティブ対応)可能です。「海外のエグゼクティブやVIPを招いてイベントを⾏いたい」「各国の⽂化や商習慣に合わせてのプランニングが必要」「事務局業務から旅行⼿配までトータルで対応して欲しい」などのご要望があれば、ぜひご検討ください(Global Team 特設サイトはコチラ)。※無料相談はGlobal Team 特設サイトでお申込みいただけます。株式会社ピーク・ワンのサービスの詳細を記載した資料はすぐにダウンロードいただけます。お問い合わせは弊社までお気軽にご連絡くださいませ。